■本になる成功ストーリーより隣の人の失敗談
よく成功本には、その人がどのようなことをした結果どれほどすごい成功をしてそれが現在のその人の地位や成果に結びつけているかが書いてあります。
私もこういう本を時々読みます。ただ、実際の仕事においてあまり役に立ったという記憶がありません。
「どうしてかな?」と考えると、どうやら状況が違いすぎるからみたいです。
つまり、
・任天堂のファミコンの企画をした
・法王にコメを食べさせた
・松下電器を創業した
なんて経験が「たかがイチサラリーマン」の仕事役に立つわけがないです(物事への取り組み方は参考になりますよ、もちろん)。
それよりも、すぐ隣りの先輩が
・上司からこんな無茶ぶりをされたけど何とかやり遂げた
・生産ラインに新しい設備を導入できた
とかいう話のほうが、「自分にもできそう」と思わせるわけですね。
さらにそれが失敗談だったりするとすごく印象に残るわけです。
■物語記憶は単発記憶より長期記憶になりやすい
理由はよくわかりませんが、以前の記事
記憶力を高めるでご紹介したように
・青
・スプーン
・象
・パソコン
をおぼえておくのに、これを単純に記憶しようとするのではなく、
「青いスプーンを加えた象がパソコンの上で踊っている」
みたいにしたほうが記憶に残りやすいらしいです。さらに記憶に残りやすいのは、物語にすること。たとえば、「ももたろう」の話しならほとんどの人が語れるでしょう。これが、
・おじいさん
・サル
・鬼ヶ島
・芝刈り
・きびだんご
・洗濯
・キジ
・桃
・おばあさん
・桃太郎
・イヌ
・鬼
と並んでいるものを覚えなさいと言われたらきっとムリです。
記憶に残れば、それを応用することもできるようになるわけです。
ただし、記憶に残るような物語を作るためには、その場の勢いで話してはダメです。あるストーリーを構築するためのコツが有ります。
ここらへんは本日のお題ではないので、以下の本を参考にしてください。
また機会があればご紹介します。
クリストファー・ボグラー著 『神話の法則』
■原因を分析させる
単に記憶に残っただけでは大して意味はありません。単に知っていることだからです。
問題は
なぜそうなったのかを分析させる
ことです。自分の経験を『神話の法則』にそって語り、
「こうなった原因は何だったと思う?」
「今の君なら理由と対策はわかるよね?」
と相手(教育しようとする人)に質問することです。そうすることでその人が自分の知識・経験と今の物語を組み合わせて答えを出そうとします。それではじめてその人の血肉になるわけです。
ただ、一つ一つのエピーソード(物語)から得られるのは、多くのことに発展はさせにくいです。
ですので、一緒に飲みに行った時とか、ちょっと雑談をする時とかに手短に物語を語り、考えさせたり議論したりすることです。
こういうのは、集合研修とかが適切なのかもしれませんが。
私は大体一緒に飲みに行くと「ちょっとだけ失敗物語」というのをやるようにしてます。
意外と覚えている人が多いですので、その後に雑談しながら、「そういえばあの時○○の話をしたよね。きみならどうする?」と質問するようにしてます。要は2回に分けて話をするようにしてます。
これができるようになるためには、自分のエピーソードをたくさん持っていないと、その人の状況に合わせた成功談・失敗談が出てきません。これは、日誌をつけると自然と身につきますよ。日誌を付けた時にエピーソードがあれば、それを整理して自分で文章にしてみることですが、これはまた別のお話。