■「思い出す」コストと「記録する」コスト
以前の記事でも何度かふれてますが、人間の記憶は1時間も経てば曖昧になります。
私のような、記憶力がないことに自信があるレベルだと、5分前に言われたことも正確に思い出せない場合もあります。
それから、もう一つが、「よ~し!日誌を書くぞ!」と思って書き始めると、「あ、そうか。これ、やっておくんだった。思い出したのが吉日!」と別のことをやり始めてしまい、そのまま日誌に帰って来ません。翌日書きかけの日誌を見て「あら~……」ということ。
記録をし始めると細かく書き始めれば30分でも1時間でも書く時間は必要だし、考える速度よりも文章を作る速度のほうが遅いので、全部を書き留められません。
それに「書くこと」が目的なので、きちんとした文章にしようとします。
その負荷もあって、まず「書こう」と思うことが少なくなり、書きかけで辞める可能性が高く…ということで、結局「記録しない」という事になってしまいます。
■現在進行形で書く
簡単にいうと、1日の仕事が終わってから記録を書こうとすると、大体は失敗します。
思い出しながら、何かの資料をみながら書いていたのでは、「思い出す」「記録する」というコストが避けられないのです。
それなら、やっている瞬間に記録すれば確実に記録できるし、その時点で考えていることも、言語化されますので、実は一石二鳥なんです。
■「記録」に時間を使いすぎてはいけない
記録は所詮記録です。
日誌をいくら書いても、それを振り返りに使わなければタダのハードディスクのデータに過ぎません。それはあなたの業務効率に何ら影響を及ぼさないどころか、作るコストに対して使わないので、マイナスの影響だけになります。
これは知人の話ですが、介護士は日誌を書くことが義務付けられていることが多くて、「××さんが嘔吐した」とか「○○さんが転んだ」とかをちゃんと書いておかないといけないので、仕事が終わってから日誌を書くのに1時間も書けることがあるそうです(その間は無給?)。
その人にアドバイスしたのは、上記の「気がついた瞬間に記録する」という方法です。
介護士は会社員のようにいつもPCを持ち歩いているわけではありませんので、業務日誌に書くことは難しいですが、付箋に「××さん、転倒」と書いておけば、あとは清書という作業が残っているだけで、「え~っと、今日は何があったっけ?」と思い出す作業をする必要がなくなります。その上、時刻を正確に記録することもできます。
このアドバイス以降、その人は日誌を書いている時間が半減したそうです。
私の場合は、就業後約30分~1時間かけていた日誌の時間が、リアルタイムにPCに書くようになってから、ほぼゼロになりました。その時間を使って1日のデイリーレビューができるようになりました。
このヒントは、サーバの管理をしている人の日誌です。
私の部下の何人かはサーバの管理者もしているのですが、なにか問題が起きた時に、影響を探るため、サーバの捜査日誌をつけてもらっています。つまり、何月何日何時何分に何をしたかを正確に記録しておかないと、あとで障害になった時に、操作ミスなのか、システムバグなのかが区別がつきません。
このために正確に記録がいるのですが、あとで書こうと思ってもまずかけません。
どういう名称のダイアログが出て、どのボタンを押したのかも正確に記録しておかないといけないですので。
そのために、画面上に何かあればスタップショットを取り、その時刻とファイル名を正確に記録しておくわけです。日報は後から多少の編集をして見やすくはしますが、その時点で正確な日報があれば、淡々と作業を進められますが、もしなかったら、「たしかこの時間だったよな~」とかいちいち考えないとできなくなってしまって、余計な時間を食うわけです。
■成果が出る活動
どんな仕事でも共通しますが、記録や報告、引き継ぎといった作業に時間を取られすぎてしまうと、「成果」を生み出す時間が少なくなってしまいます。
なにをもって「成果」とするかは職種により異なりますが、成果を出すための基礎情報(この場合は日誌ですね)は必要ですが、その基礎情報に時間を取られては本末転倒になってしまいます。
あとで思い出す必要がないようにしておけば、不要なコストは削減できます。
その分を生産的な活動にあてましょう。
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