■「全体最適」は攻撃の言葉
この言葉は何かの交渉をして相手から譲歩を引き出そうとするときに使う言葉です。
実は多くの人が内心はわかってます。ただし、それを公に言うと「あいつは…」とか言われてしまうので言わないだけです。
たとえば上司から
「○○課長、来月1か月間だけでいいからさ、おたくの営業第1課から、営業第2課の方に、業務応援として人を3人出せないかな?」
とたずねられたとき、あなたが
「そんなの無理ですよ。ウチだっていっぱいいっぱいなんですから」
などと答えよう者なら、
「お前は会社としての
全体最適をどう考えているんだ」
などとお小言を頂戴することになります。
確かに、全体最適の反対語である「部分最適」は、一部の利益を最適化して、会社全体としての利益を損なうような場合に使われますが、だからといって一部分の利益が無視されていいわけではないんです。
でも、こう言われると反論のしようがなくなりますよね。
■リーダーの役割
あなたが組織のリーダーになったとしたら、その組織の目標を最優先に考えないといけません。
もしあなたがイチ担当者であったとしても、あなたの業務目標をほっておいて「全体最適」のために何かに貢献しても、期末に「あなたの業務目標は未達だよね。はいD判定」と言われるのがオチです。
あなたのコントロールする範囲が、課・係のような組織であれ、あなた個人であれ、あなた自身の部分最適を犠牲にして、全体最適を目指してはいけません。
■全体最適のトラップから逃げる方法
しかし、「全体最適で考えよう」とか言われると、概念的には悪いものではないので、まっとうに反論することは難しいです。
そういう時には、私は大体下記のような方法を取ります。
・そのやり方の代替案を出す
「営業3課でいま××のような人がいるみたいですけど、この人のほうが貢献できるのではないですか?」
・そのやり方自体を否定する
「営業2課の業務の進め方は非常に非効率です。まずこれを改善するべきではないでしょうか」
「そのやり方で営業2課の業績は良くなりません。逆にデメリットが××、●●のようなものがあり、ウチも○○の影響を受けます。共倒れになって全体として目標を達成できなくなる可能性があります」
・譲歩案を出す
「それだけ人を引き抜かれると、ウチの目標が達成できなくなります。何とかぎりぎりの線で1人を2ヶ月でもできないでしょうか」
・脅す
「それではウチの課の目標が未達になります。××の業務目標は取り下げとさせて頂いていいですか? それを部下に説明しますので、文書としてください」
決して「全体最適」自体を否定してはいけません。