忍者ブログ

サラリーマンの仕事術

給料がちょっとだけあがるような仕事術について

学習効果を高める内省と探求



人の学習と言うのは、内省と探求によって成り立っています。

この仕組を知ることで、自分の学習を促進することができるヒントが見つかります。


■内省


内省とは、考えるプロセスのスピードを緩めて、自分がメンタルモデルを形成した家庭をはっきり意識することです。
探求とは、自分たちの見解をオープンに分かち合い、互いの考えの前提を知るような話し合いをすることです。

内省的に考えるというのは、

 「××であるべき」
 「××なのが理想」

と考えた時に、それに基づいて答えを出すのではなく、なぜ「××でなければならないのだろうか?」と考えることです。
自分の価値観や判断基準、前提条件がなぜ必要なのかを見なおしてください。

たとえば、こんなシチュエーションを考えてみてください。


★――――――――――――――――――――――――――
あなたは車に乗っていて車1台分しかない坂道で渋滞に引っかかってしまいました。前後にはちょっと離れて車が止まっています。ところが、前の車がブレーキが甘いようでズルズル下がり始めました。だんだん加速してきます。クラクションを鳴らしても反応がありません。寝ているのでしょうか…。
――――――――――――――――――――――――――★


ここで、普通の回避策としては、

 なんとか避ける場所を探す

というものでしょうか。ただし、前提として車1台がやっと通れる道となれば、これは使えません。この時前提にあるのは

 衝突しそうになったら避ける必要がある

という前提は正しいでしょうか?
なぜそう思うのでしょうか?

それを考えてください。これが内省です。

■推論のはしご


私たちは、検証されないまま深まっていくことの多い確信の世界に住んでいます。そのような確信が受け入れられているのは、自分の観察や過去の経験から推測される自分なりの結論にもとづいているからです。

真に望む結果を達成する能力を蝕んでいるのは、次のような感覚です。

・私の信念は絶対正しい。
・真実は明らかである。
・私の信念は現実にもとづいている。
・私の選んだ事実は、本当の事実である。

人間は観察可能な事実・経験を元に次のようなステップで知識を蓄積するそうです。

 1.観察可能な事実・経験をする
 2.観察しているものの中から選択した事実を選ぶ
 3.その事実に文化的・個人的な意味づけをする
 4.自分がした意味づけに基づいて推測をする
 5.推測に基づいて、世界に関する情報を持つ
 6.自分の持つ世界観を形成し、それに基づいて行動を選択する

ところが、自分が選択した事実が、過去に形成された世界観に一致する(または類似する)ものであるとき、この3.から5.を飛ばしてしまって、6.にたどり着いてしまいます。
これは経験を積んだ人のほうが多い事象です。

このステップを「推論のはしご」といい、普段人間は過去の経験に照らして、はしごを飛ばして答えを導き出しているのです。

そこを踏みとどまって、推論のはしごを一段づつ展開していくことが「省察」です。

■探求


上記で述べたような、内省・省察を表出させるためには、「なぜ」と問うことが必要です。

 ・なぜそうあるべきなのか
 ・なぜそれを目指さなければならないのか

判断の理由を明確に提示し、深く自分自身の判断のための推論のはしごを明らかにすることによって、よりよい判断のための推論のはしごを探求することです。

それによってほんとうの意味の学習が行われます。

こういう学習が行われたものごとは忘れませんし、あらゆる場面に応用がされるようになります。
アイディアを出したり、解決策を検討したりするときに、これをどのくらいやったかが如実に現れます。

■同じテーマの記事

蟹は甲羅に似せて穴を掘る

人間は見たいものだけを見ている映画、会議、イべント、なんでもいいのですが、同じ時問を共有した人と話していたら、お互いの感想が全く違ってな本当に同じ体験をしたのかと思うことはないでしょうか。なぜこのようなことが起こるかというと、現実の理解は性格や記憶に強く影響を受けてる、つまり個人のフイルターを通して行われているからだそうです。「個人のフィルター」というのがカギで、網膜に写ったものは同じですが、脳の認知領域に伝達される時に、その人が価値を置かないことはカットされてしま..

内省と探求

内省と探求内省とは、考えるプロセスのスピードを緩めて、自分がメンタルモデルを形成した家庭をはっきり意識することです。探求とは、自分たちの見解をオープンに分かち合い、互いの考えの前提を知るような話し合いをすることです。内省内省的に考えるというのは、「××であるべき」「××なのが理想」と考えた時に、それに基づいて答えを出すのではなく、なぜ「××でなければならないのだろうか?」と考えることです。自分の価値観や判断基準、前提条件がな..

真逆を考える

前提を崩すラテラル・シンキングラテラル・シンキング(水平思考)について、またいつものように Wikipedia から。デ・ボノは従来の論理的思考や分析的思考を垂直思考(Vertical thinking)として、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生まれにくいとしている。これに対して水平思考は多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法であ..

学習する組織:「5.チーム学習」の考え方の基本

前年度末に売上目標のため無理をした結果、今年度は期首から大幅な目標未達。マネジャーが「自分がやった方が速い」と仕事を抱え込む結果、部下が育たず悪循環。会議では有力者の発言ばかりが目立ち、それに疑問を示せる雰囲気ではない。思い当たるフシがありませんか。「学習する組織」のアプローチが役に立つかもしれません。『学習する組織』から、5つのディシプリン(構成要素)を引用してご紹介します。本日は第5回。チーム学習について。..

問題を大きく捉えると、仕事の成果を増すことができる

「コップの中の嵐」という言葉を聞いたことがある人は少なくないのではないでしょうか。これは国語辞書にも載っている単語で、狭い範囲内で起こった、大局には何の影響もない騒ぎのたとえという意味です。問題は「狭い範囲内」です。単純に行ってしまえば、当事者は「ものすごい嵐だ」と感じているものの、それは全体から見るとコップの水がちょっと揺れている程度のものだということです。ただし、コップの水が揺れるのは、外から力が加わったからです..

「なぜそう考えるのか?」を考える2

前回は、ちょっと難しい問題に「あっ」と驚く解決策が出せるようになるための考え方のお題坂道で渋滞しているときに、前の車がズルズル下ってきたらどうするか?をお題にして、「内省」と「推論のはしご」についてご紹介しました。今回はその解決編。推論のはしごの思考プロセスここで、前回ご紹介しました『フィールドブック 学習する組織「5つの能力」』の部長に自分の提案を無視されたシチュエーションで、自分の頭のなかでどのような推論が行..

PR