■昨日の要約
最近、ウチの会社では昇進試験に
プレゼンテーション試験
というのが取り入れられました。以前の記事
昇進試験グループディスカッション
でもちょっと書きましたが、やっぱり昇進してリーダーなり管理職にになれる人というのは、自分の主張を持っていることも大切ですが、その主張を人に聞き入れてもらえるというのも大事ですね。
前回の記事では、試験で評価されるポイントを書いたので、今回は実際に自分の主張を通しやすくするためのヒントを少し。
■アリストテレスの議論法

によると、実践で使えるディベートのポイントは以下の8つだそうです。
★――――――――――――――――――――――――――
1.相手を知れ
2.内容を単純化せよ
3.対立意見者の信頼性を貶めよ。弱点を強調せよ
4.主張に目を向けさせ、弱点からは注意をそらせ
5.内容を忘れられぬよう、繰り返せ
6.注意をひき続けよ
7.感情語を交えよ
8.信頼されよ
――――――――――――――――――――――――――★
これ、まったくその通りで、私も日頃注意していることなので、ご紹介します。
〓〓注記〓〓
以下の解説は私が勝手に解釈したもので、この本「なぜ、あの人の「主張」だけ通るのか? 」に書いてあったものではありません。したがって本書の著者 佐藤綾子氏の意図とは異なる場合がありますのでご了承ください。
昨日は、2まで説明しましたので、本日は3のところから。
■3.対立意見者の信頼性を貶めよ。弱点を強調せよ
多くの場合、ある問題や課題に対しては、複数の意見があります。
その時に、あなたの主張や意見を採用してもらうためには、あなたの主張をわかりやすく、納得しやすいものにすると同時に、比較対象を低く見せることで、あなたの主張が採用されやすくなります。
例えば、2つのシステムの提案があったとすると、あなたの提案するシステムのプレゼンの時に、「別の案は、○○のような欠点があり~」のように相対的にあなたの競合の推薦するシステムの欠点をあげつらうのです。
あるいは、相手の論理的矛盾を、傍聴者(意思決定者)が簡単に理解できるように、主張することです。
この方法は、2つのやり方があり、
・対立意見自体を攻撃すること
・対立意見をいう人を攻撃すること
の2パターンがあります。
攻撃と言っても、相手を責めるのではなく、相対的に自分のほうが優れていると思わせるような言い方がいいです。ここは非常に論理的に進める必要があるので、発言の前には、「何をどのように攻撃するのか」をメモしてから発言しましょう。
■4.主張に目を向けさせ、弱点からは注意をそらせ
どのような提案にも長所と短所があります。その短所が、「取るに足らないもの」のように見せることです。
■5.内容を忘れられぬよう、繰り返せ
キーポイントとなる主張は、2.で単純化して、短いフレーズで言いやすくして、これを繰り返すことです。人間は、繰り返し出現した言葉を重要だと認識するので、あるいは注意をひくようにして繰り返すことです。
例えば、「注意一秒怪我一生」みたいにわかりやすく、言いやすい言葉にしてしまえばいいです。
■6.注意をひき続けよ
5.と重なるのですが、注意をこちらに向け続けるためには、
・繰り返す
・(文字にするときは)目立たせる、色を変える
・(声にするときは)そこだけ声の大きさ、トーン、速度を変える
・相手の目を見つめて言う
などのように相手が注意せざるをえないような行為を何度も行うことです。
■7.感情語を交えよ
感情語とは、相手の感情に訴えるような単語。例えば、「素晴らしい」「嬉しい」「恐ろしい」などの言葉。通常ビジネスでは論理的ではないので、あまり多用されることはありませんが、キーになる主張に対してはこれを使うと、普段使われないだけに印象に残ります。
■8.信頼されよ
3.の反対。つまりは自分が信頼されれば、自分の発言はそれだけ信用が高まるということです。
これは普段の行動が影響するのですが、よくビジネスで
「何を言うのかではなく、誰が言うのか」が重要
というやつです。
初めて合う人などに対しては、その人は自分に対してバイアスを持っていないので、
・意見の採否を決める人の発言には、大きく頷く
・発言者の方に体ごと向けて発言を聞く
・他の人の発言を受けて発言するときには、まず相手の意見を肯定する
・否定文を使わない
・負の表現(「悪い」「暗い」「辛い」など)を使わない
というやり方で信頼を得やすくなります。
■パウチする
これらは、議論をしていて熱くなってしまうとつい忘れがちになります。
ですので、私の場合は、この8箇条を印刷して、パウチ(ラミネート加工)して、手帳に挟んでます。何かの議論や自分の主張を通したいときには、まずこれを目立たないように机の上に取り出して、自分からは常にこれを見ながら、これからするは発言はどの項目を意識して発言するべきかを気をつけながら発言したり、人の発言を聞いています。
これをするようになってから、自分の主張が通ることが多くなったような気がします。
もちろん、ビジネスなので、地位がモノを言うこともあります。ある程度職位が上がったことで自分の発言を聞いてもらえるようになったということも否めませんが。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■参照先
――――――――――
◆アマゾン

なぜ、あの人の「主張」だけ通るのか? (フォレスト2545新書)
◆楽天
■関連する記事
著名エコノミストのロバート・フェルドマン氏が薦める本のご紹介。簡単にフェルドマン氏について。アメリカ合衆国テネシー州オーク・リッジ出身。東欧ユダヤ系。1970年にAFSの交換留学生として初来日。愛知県名古屋市の南山高等学校にて学ぶ。イェール大学(経済学・日本研究学士)を経て、マサチューセッツ工科大学において経済学博士を取得。野村総合研究所、日本銀行で研究業務、その後国際通貨基..
著名エコノミストのロバート・フェルドマン氏が薦める本のご紹介。簡単にフェルドマン氏について。アメリカ合衆国テネシー州オーク・リッジ出身。東欧ユダヤ系。1970年にAFSの交換留学生として初来日。愛知県名古屋市の南山高等学校にて学ぶ。イェール大学(経済学・日本研究学士)を経て、マサチューセッツ工科大学において経済学博士を取得。野村総合研究所、日本銀行で研究業務、その後国際通貨基..
プレゼンをするときに、同僚相手なら、わりと普段使っている言い回しで話が通じますが、社長に「いまの技術的課題を説明しろ」とか言われると困り果てます。その技術に詳しい人が社長ならいいですが、営業出身の社長に、ソフトの技術的課題を説明しても通じません。「オープンソースのソフトフレームワークである Hadoop について、同期ノードの……」って言っても、たぶん意味は通じないでしょう。どうしても自分でわかる言葉で説明したくなっちゃうので..
他人から信頼を得る方法について、非常に簡潔にまとまっているのでご紹介。信頼方程式 T=(E+R+I)/S信頼の方程式信頼を高めるのは、商売において最も大事なポイントです。どんな商売でも相手に信用してもらえない限り、何も買ってもらえません。つまり信頼関係がなければ、お金にならないのです。そこで、あるコンサルタントが書いた本(『The Trusted Advisor』 デビッド・マイスタ..
交渉において、私が大切にしているものが、核心にいくためのストーリーとBATNAです。いきなり「××してください」は通用しないかんたんなものならいいのかもしれませんが、自分が何かほしいものがあって、それをくれるように相手と交渉するときに、いきなり「××をください」というのは直接的ではありますが、通常は下策です。たとえば、「ちょっと、を用意しておいてください」「明日までにの報告書を作ってください」「一緒に..
私はいつでも時間を見えるようにしています。あらたに何か購入せずに済む方法として、PCのモニタの隅に時計を表示させていて、PC を見ているときには、これが意識せずに目に入る用になっていますし、PC を見ていない時には、PC は時計のスクリーンセーバーを表示させています。詳細は、こちらを参照してください。アナログ時計を使うデスクトップ時計とカレンダーこれはあちこちの本に書いてあったことなので、最終的にどの本がきっかけだったのか忘..
■同じテーマの記事
プレゼンでパワーポイントを使って作る際のちょっとしたコツをご紹介します。ただし、これは私が勝手に決めているルールなので、一般にこの書き方が本当に妥当なのかどうかは知りません(無責任ですみませんが…)。もし、「これは間違っている」という情報をお持ちの方、ご指摘くだされば嬉しいです。プレゼンで図を書く際にいくつかコツがあるのですが、本日はそのうちのひとつ、四角の使い分けについて。四角形の使い分けご存知のように、パワーポイントで使える四角形の囲み(図形)は2種..