■エビデンスと周知のための議事録
議事録には2つ目的があって、ひとつはエビデンス。つまり、だれが何を言ったのかの証拠です。あとで「言った、言わない」のトラブルになったり、決定事項の背景を会議に参加していない人にも通知する役目です。
この目的であれば、会議に参加した人は議事録を見る必要はありません。
その場にいたのでより詳しく知っているはずですから。
逆に会議に参加していない人で何らかの影響を受ける可能性のある人は、かならず読まないといけません。もしかしたらそこに自分の業務への宿題が書いてあるかもしれないので。
でも実際には、議事録がメーリングリストで配布されても、多くの人が読んでません。
そこに「××さんに○○をやってもらうこと」って書いてあっても、××さんは読んでないので知りません。メールで回っているので読んでいるはず、などと思っていると大間違い。
期限が来たときに「○○できた?」って聞いても「そんなことあったんですか?」って…。
で、仕方がないので、会議に参加した人(多分上司)が、本人に直接言っておき、さらに期限の直前に「できてる?」って確認する必要が出てきます。
二度手間、三度手間です。
だったら、「情報共有ができてない」なんて文句を言うなよ…、みたいな?
■読み返すための議事録
私が個人的に議事録を重視しているのは、エビデンスという意味の議事録ではなく、こちらの意味。もう一度状況を反復するための議事録。
どういうことかというと、脳科学的にみれば、人間は一度見ただけでは物事を記憶できません。
反復・反芻しないと記憶には残らないんですよ。
たとえば、「○○役員:このプロジェクトでは××できるようになることが重要だ」という議事録があっても、その場では覚えているでしょうけど、プロジェクト期間において、ず~っとそれを覚えているわけではありません。ところが発言した○○役員は当然そこに価値をおいているので、プロジェクトの完了報告時に「結局、××はできるようになったのか?」と聞きます。
「失念してました」
なんて答えられないので、しどろもどろになりながら答えることになります。特に役員肝いりで始まったプロジェクトなんかだと、プロジェクトの目標として明示されたものと役員がそのプロジェクトを通じて得たい明示されていない目標があることがあります。
プロジェクトの明示された目標は当然達成できないといけませんが、プロジェクトのオーナー(発案者の役員)が期待しているものが別にあれば、それが未達だと役員にとっては不満なわけです。そこを汲み取るのが経過報告時の役員の発言にあるわけです。
それが、頭に入っている状態でないと、プロジェクトを進めるときに判断を間違えて(正しいかどうかではなく、役員の期待するものに沿っているかどうか)、最後に怒られることになります。
■事実に基づく分析のための議事録
もうひとつ事例を上げると、過去記事
良かったことほど分析する
活動ログの蓄積
同じ経験は2度とできない
でも書いたように、結果を分析するためには、事実が正確に必要です。
その時点では参加者なら、それは「事実」だと知っていますが、時間が経つと記憶が曖昧になり、個人個人に都合がいいように変化します(歪曲とも言いますが…)。
で、最後に振り返り会などすると、同じ会議でも「あのときにこう言った」「いや、そこはこうだった」と議論になるわけです。
認識の違うことを好き勝手に分析しても、合意できる結論にはなりません。
結果として、最後に一番職位の高い人が、「じゃぁこういうことで」っていって反省会が終わり、誰も納得していないので、結局何も変わらない。
ある一瞬一瞬だけではなく、プロセス・流れみたいなものを分析するためには、一瞬一瞬の正確な事実が情報として存在しているうえに、それをある軸でどのように変化したのかを分析しないと正しい結論には行き着きません。
なので、個人の業務の進行であれば日誌を残し、グループの活動なら議事録を残すことによって、その時点における正しい情報を変更不可能なように記録し、それを参照することでそのプロセスを読み取るようにしないと、ほんとうの意味での
事実に基づく分析というのはできないわけです。
■読み返さないのであれば意味なし
せっかく作った議事録や日誌は読み返さないのであれば、単なるハードディスクのゴミです。
もし二度と読まないのであれば、議事録など作る必要はありませんし、作るだけ時間の無駄です。
作った以上はちゃんと使う。作る目的を確認しながら使うことが必要ですね。
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