忍者ブログ

サラリーマンの仕事術

給料がちょっとだけあがるような仕事術について

「孫子の兵法」を実践してはいけない


「孫子の兵法」はいろいろな本で触れられる事が多く、いくつかはサラリーマンにとっても意味のあるものがありますので、全面的に否定するつもりもありませんが、基本的にはサラリーマンが読む必要がないものというふうに位置づけてます。

すなわち、「孫子の兵法」は戦争(集団同士によるなにかの奪い合い)を指導するものが参考にするために書かれたものであって、イチ兵隊であるサラリーマンがどうこうできるものは少ないです。たとえば、孫子の兵法の冒頭は以下の様なものです。


★――――――――――――――――――――――――――

 孫子日、兵者国之大事。死生之地、存亡之道、不可不察也。
 故経之以五事、校之以計、而索其晴

戦争とは、国家の一大事である。人の死生を決める分岐点であり、国家の存亡を左右する道であるから、これを深く洞察しないわけにはいかない。だから、五つの事柄でよくよく検討し、七つの計で比較分析し、敵味方の実情を求めるのである。

(著) 『孫子・三十六計
――――――――――――――――――――――――――★


これを読んでもわかるように、サラリーマンにとって「敵」とは誰で、「戦争」というのはどうするものなのかがすぐに思いつく人はそう多くはないと思います(私が思っているだけですが)。

それよりも、同僚とうまく協力しながら成果を出すようにしたほうがお互いにとってメリットがあります。

ましてや


★――――――――――――――――――――――――――

 兵者脆道也。

戦争の本質は、「詭道(偽りの方法)」である。

(著) 『孫子・三十六計
――――――――――――――――――――――――――★


なんて、相手を騙して自分だけが利益を得るようなマネをすれば、あとで手痛いしっぺ返しを食らうことは間違いありません。


しかし、経営者は違います。

経営者は、企業のトップとして、ライバル企業を蹴落としてでも利益を上げる義務があります。そのためにはだまし討ちもする必要がありますし、従業員(サラリーマン)を効率よく戦わせる方法も考える必要があります。非道なものです…。

ですので、経営者は常にこの孫子の兵法を(言明するかどうかは別にして)意識してます。だから、このたぐいの引用が多いんですね。

でもサラリーマンにはほぼ不要なものですよ。

ただし、経営者と話をするときには、経営者は「このくらい当然」と思ってますので、「知識」があるに越したことはありません。一般常識として孫子の兵法を読んでおきましょう

どのくらいまで読めればいいかというと、上記で書いたように「原文(新漢字)」を「読み下し文」にできる程度で、あとは書いてあることがイメージできれば十分です。

そういう意味で、本書『孫子・三十六計』は全体像を知るのに良書だと思います。


■参考図書 『孫子・三十六計


立ち読みできます立ち読み可
中国最高の兵法書『孫子』と、その要点となる三十六通りの戦術をまとめた『三十六計』。親しまれてきた名言は、ビジネスや対人関係の手引書として、実際の社会や人生に役立つこと必至。古典の英知を知る一書。

◆アマゾンで見る◆ ◆楽天で見る◆ ◆DMMで見る◆

孫子・三十六計
著者 :

孫子・三十六計
検索 :
最安値検索

孫子・三十六計
検索 :商品検索する



●本書を引用した記事
 「孫子の兵法」を実践してはいけない
 見勝不過衆人之所知、非善之善者也
 知彼知己、百戰不殆
 孫子・三十六計

●このテーマの関連図書

老子・荘子(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス中国の古典)

韓非子(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス中国の古典)

論語(角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス中国の古典)

菜根譚ビギナーズ・クラシックス中国の古典(角川ソフィア文庫)

易経ビギナーズ・クラシックス中国の古典(角川ソフィア文庫―ビギナ…

貞観政要ビギナーズ・クラシックス中国の古典(角川ソフィア文庫)


■同じテーマの記事

高名の木登り

集中を必要とする仕事などで「はあ、あとちょっとになったぞ」と思ったりすると突然集中力が切れて、最後にミスをしてしまったとか、ありません?私は予算管理などでよく失敗します(庶務さんいつもゴメンなさい)。高名の木登り学校の古典の授業で、「徒然草」という随筆が題材になった勉強をした記憶がありませんか。この文章です。高名の木登り高名の木のぼりといひしをのこ、人を掟(おき)てて、高き木にのぼせて梢(こずゑ)を切らせしに、いと..

数値の利用して自分の評価を上げる

多くの会社では目標管理制度に基づく社員評価がされています。これが日本に導入されたのは20年くらい前でしょうか。これは業務の定義が明確な欧米なら有効な方法かもしれませんが、実は日本に導入するには穴だらけ。それを利用して自分の評価を上げる方法があります。目標の達成度が高ければ、評価結果が高くなり、最終的には給料や昇進に影響してきます。サラリーマンとしては、1日中ハナクソをほじっているだけで、ボーナス満額なら幸せです。すでに気がついている方が多い..

結果が全てじゃぁない

結果が全てじゃないよくスポーツなどでこういったことが言われますね。会社でもそれを聞く時がありますが。先日部下と飲み屋で話しをしている時に、ちょっととなりから聞こえてきた言葉がこれでした。どうも営業をやって見える方のようで、上司が営業成績だけで部下を評価していることが不満だったようです。「結果しか判断材料にしないんだよな~」「ちゃんとプロセスも見ろよな~」なんてことを(正確には覚えてません)言っていたように記憶してます。もちろん、聞こえないふりをしてましたが。..

「孫子の兵法」を実践してはいけない

「孫子の兵法」はいろいろな本で触れられる事が多く、いくつかはサラリーマンにとっても意味のあるものがありますので、全面的に否定するつもりもありませんが、基本的にはサラリーマンが読む必要がないものというふうに位置づけてます。すなわち、「孫子の兵法」は戦争(集団同士によるなにかの奪い合い)を指導するものが参考にするために書かれたものであって、イチ兵隊であるサラリーマンがどうこうできるものは少ないです。たとえば、孫子の兵法の冒頭は以下の..

「組織は戦略に従う」が「技術は戦略をくつがえす」

ちょっとビジネス書といえるかどうか微妙ですが、個人的にとっても面白かった本をご紹介します。アルフレッド・D・チャンドラーが『組織は戦略に従う』を発表したのは今から半世紀近く前ですが、これは未だに真理として使われることが多いようです。このほか、「戦略は組織に従う」とかいろいろな派生バージョンがあるようで、この本も「ビジネス書」の分類で、マネジメントの一種としての技術開発についてだと思って読んだら、意外や意外。こ難しい理屈抜きに楽し..

六然

六然って御存知ですか?もし聞いたことがない方でも、この言葉はどこかのビジネス書で読んだことがあるかもしれません。得意憺然、失意泰然(とくいたんぜん、しついたいぜん)物事がうまくいっている時でも調子に乗らずうまくいっていない時でも、落ち込まない勝海舟がその書を残したことで有名なのですが、戦前から戦後にかけての政治家、安岡正篤が座右の銘としても有名かも。全文ですが、自処超然(じしょちょうぜん)処人靄然(しょじんあいぜん)有事斬然(ゆうじざ..

PR