以前の記事「
9つの目の交渉術」の記事で、
1.蟻の目 ミクロの視点
2.鳥の目 マクロの視点
3.魚の目 フローの視点
という3つの視点に基づく視野を持つことで、ものごと正確に見ることができる、というお話を書きました。
本日は、「魚の眼―フローの視点」を持つための思考方法をもうちょっと詳しく考えてみたいと思います。
■前後関係
フローの視点というのは、ある出来事を時系列の中で捉えることです。
たとえば、
今日部長にえらく怒鳴られた。
なんてことがあった時に、
そりゃ失敗したのは自分だが、そんなに怒鳴り散らすほどのことじゃないだろ
と思ってしまうのは、自分が「フロー」を見えていないからです。
サラリーマンのやることなんて、大体の場合、ひとつづつの事象は大した問題ではありません。それが、誰かの感情を思い切り傷つけたり、極端な反応を誘発するというのは、それ以前にそれを引き出すような下地があったからです。
御存知の通り、いろいろな物事は、あるとき突然発生することはありません。いろいろな出来事が様々な形でつながって、また新しい出来事へとつながっています。
言葉にしてしまえば当たり前のことなのですが、意外とこれが理解できていないんじゃないかと思えるような人もみかけます。とくに若い人に多いんですが、これは
・経験
・視野
・情報量
の3つに差があるのでしかたがないかもしれません。
ただ、40歳を過ぎてなお、明らかに相手の状況や前後関係が解ってないだろうと思えるような行動をする人というのは、ちょっと残念かも。
■3つの流れ
簡単に分けてしまうと、フロー(流れ)には3つのパターンがあります。
・作用と反作用
・慣性
・貯めと開放
多くの場合この3つが掛け合わさって、物事が起きてます。
■作用と反作用
これは大体の人が状況を把握しやすいもので、なにかの変化を「起こそう」というながれと、それを起こさせまいとする流れですね。
会社の中で実権を握りたい人と、それを阻止したい人、みたいな感じで考えればいいですかね。
会社は人間の組織なので、いろんな考えをっ持った人がいます。それが似通っていたり、利害が一致したりするとグループが出来るわけですね。そのグループが離散集合を繰り返しながら、押したり引いたりを繰り返しています。こういうのは直接目に見えないのですごく厄介なのですが。
ただ、複数のグループの中で、一方が能動的に攻撃に出る場合があります。こういった時に摩擦が起きるのですが、基本的に多くの出来事はこの摩擦の一環です。
人事異動にしても、それによってある種得をする人と損をする人がいるわけで、それをよくよく見てみると、その損をしたグループの反撃(反作用)だったりするわけです。
こういうのがわかると、次にどんなことが起こるのかが予想しやすい。
それが、フローを見るという視点です。
■慣性
「惰性」ともいいますね。
以前からそうだったので、そのままの流れ、あるいはその流れを強化する方向に流れるものです。
「慣性の法則」といえば物理学の世界ですが、人間組織にも、あるいは個人にでも慣性はあります。毎日同じ電車に乗って、同じ席に座っているなんて、惰性そのものですね。
大きなお話で言えば、日本の有名電機メーカーが、いまだに白物家電にこだわっているのもそうなのかもしれません。
■貯めと開放
これは、火山の爆発と同じ。
徐々に圧力が高まってきていて、ある時臨界点を超えると、大爆発をおこして、誰の目にも明らかになるのですが、それ以前には水面下でものごとが進んでいきますので、意外と知らない人が多い。
この水面下で起こっていることは、ほんの小さな動きなので、よく目を凝らしてみないとわかりませんが、
「あぁ、あの時の、あの発言は、この状況の伏線だったんだな」
とおもえるような出来事を経験した人もいるでしょう。
■3つの流れを利用する
単に「魚の眼」をもっても、魚が川の流れを逆に出来ないように、自分のどうにもならないことがわかっても仕方がありません。
この「3つの流れ」を見つけて(会社は存続し続けているのだから、常にいろんな流れが置きてます)、それをちょっとだけ自分の都合のいいように変えてしまう。あるいは、囲碁のように、その流れが来るであろうポイントに、自分の石をおいておくことで、自分の立ち位置にとって都合のいい出来事を作り出すことができます。
ただ、超能力者じゃないので未来が確実に分かる方法はありませんが、右に流れていたものがいきなり左に流れることはないのと同様、ある程度の確率で予測は可能になります。
その予測に基づいて、ちょっとだけ自分の石をおいておく、それも、予測の外れる確率も考え合わせてあっちこっちに。そうすると、いつの間にか結構な立ち位置に自分を持っていくことができます。
今日はちょっと曖昧な内容ですみません。
あまり具体的に書くと、色々まずいので。
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